
(木 / メナシェ・カディシュマン)
アプリで安全・安心なアート体験を
大地の芸術祭実行委員会
大地の芸術祭は、世界最大級の国際芸術祭であり、日本中で開催されている地域芸術祭のパイオニアです。過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地、新潟県の越後妻有地域(=大地の芸術祭の里:新潟県十日町市・津南町)を舞台に、約200点のアート作品を年間を通じて地域に展示。アートを道しるべに里山を巡る旅を体験できることが大きな魅力のひとつです。過疎や高齢化といった地域課題の解決を図る大地の芸術祭の一連の取り組みは、地方創生のモデルとしても国内外から高い評価を得ています。
ユーザーの体験向上と地域を大切にするというマインド、どちらへも思いを込める
「大地の芸術祭 電子パスポート&ガイド」では3つのコンセプトを重視しました。
・使いやすさ・わかりやすさの重視と世界観の両立
・越後妻有の魅力発信
・コロナ禍の感染症対策
マップや一覧から作品情報を見る機能やお気に入り登録、ルート案内ボタンなど、来訪前でも現地でも便利な機能や当アプリ限定のコンテンツ「じもと話」。トリエンナーレや季節毎のプログラム開催期間にさまざまな施設を周遊できる作品鑑賞パスポートの「電子版(有料)」では非接触のスタンプラリーなど新しい生活習慣として工夫を凝らしています。
新型コロナウイルス流行の長期化と芸術祭
新型コロナウイルスの影響の長期化により人々の価値観が大きく変化し続ける中、大地の芸術祭も現地での対応など様々な工夫や対策が必要となっています。
生活インフラとして浸透したスマホアプリを活用することで、これまで以上に安全・安心な大地の芸術祭とするとともに、越後妻有地域の魅力をより強力に発信し続けようと、今般の公式アプリのリリースに至りました。

新しい生活・新たな時代の大地の芸術祭をアプリから
使いやすさ・わかりやすさの重視と世界観の両立:運営負荷を抑えながらユーザー体験を向上させる機能の付加
マップや一覧から作品情報を見る機能やお気に入り登録、ルート案内ボタンなど、訪れる前でも現地でも便利な機能を搭載しました。作品情報は大地の芸術祭公式サイト(https://www.echigo-tsumari.jp/)と連携しており、情報の統一性担保や運用面の効率化を実現した設計となっています。
また、大地の芸術祭のあらましやパスポートの購入・利用方法などまとめたガイドをアプリ内に展開。大地の芸術祭そのものへのユーザー理解も深めることができます。
電子パスポートを含むアプリ外の対応が必要な仕組み・機能については、運営負荷を最小限に抑えながらより良いユーザー体験になるよう、これまでの運用フローに可能な限り沿った形で対応できる設計となっています。
一連の大地の芸術祭や公式サイトで作り上げた世界観や演出をアプリ内に再現しており、世界観と使いやすさを両立させています。
越後妻有の魅力発信:大地の芸術祭の体験をより深める「じもと話」
大地の芸術祭の作品は、作品を展示する地域そのものと深く関わっています。そこで、越後妻有の自然、風土、食、人など地域の魅力に触れることができる仕掛けとして、作品と地域、芸術祭と地域の関わりを知ることができるエピソードの一部を、当アプリ限定のコンテンツ「じもと話」として紹介しています。
「じもと話」の文章や写真からアプリのユーザーは越後妻有地域をより深く身近に感じることができます。大地の芸術祭を巡る楽しさを深め、広げていくことにつながります。
コロナ禍の感染症対策:安全・安心な芸術祭の開催を目指して
大地の芸術祭公式アプリは、新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う“新しい生活様式”や“ウィズ・コロナ”といった言葉に代表されるように、人々の価値観が大きく変化し続ける中での開発となりました。
来訪者や出迎える地域の方々にとってこれまで以上に安全・安心な大地の芸術祭とするため、大地の芸術祭公式アプリには接触を“自然に”避けられる機能を盛り込みました。
具体的には、トリエンナーレや季節毎のプログラム開催期間にさまざまな施設を周遊できる作品鑑賞パスポートの「電子版(有料)」をアプリに搭載。スマホを使った非接触でのスタンプラリーが可能なほか、パスポートの特典内容や利用状況、スタンプラリーのスタンプ済みの作品が一目で分かります。
ガイドコンテンツとして来訪前・来訪時の感染対策に向けた注意ポイントなども紹介。安全・安心な大地の芸術祭の一助となるよう工夫しました。

全ての方々の体験を向上させるアプリの実現へ
アプリを利用する全ての方々の体験を向上させるUI / UXを実現するため、フラーはディレクターやデザイナーが現地に何度も足を運び、現地の方々へのヒアリングや実際の作品めぐりなどで現場の空気を直に感じることを大切にしてきました。
一連の取り組みを通じて、出迎える側と訪れる側の双方の当事者として感じられる課題などを丁寧に集め、アプリに反映させました。チラシ・ポスターデザインといったリアルの施策も手がけました。
今後も当事者意識を大切にしながら、アプリのアップデートなどでさらなる価値向上に取り組みます。

大地の芸術祭の心を知る
アプリ開発期間中にフラーのメンバーは、大地の芸術祭実行委員会が開催している関連イベントである「越後妻有 雪花火」にも足を運び、大地の芸術祭が何を大事にしているのかをイベントを通じて体験しています。
アプリを実際に使う夏〜秋だけでなく、冬の越後妻有を知ることで、大地の芸術祭が大事にしている越後妻有という土地の特徴や住民の方々を巻き込んだ行事だということを身をもって体験しました。
上記に合わせて実行委員会事務局との対面での打ち合わせも実施。イベント(プログラム)開催時の運営の雰囲気を肌で感じる良い機会となりました。

- プロジェクト期間
- 2021年10月 ー 継続中
- 作成したもの
- モバイルアプリ / プロモーション媒体用デザイン制作物
- クライアント
- 大地の芸術祭実行委員会