従業員のキャリア不安を解消「なやさぽ」

経済産業省が2022年5月に取りまとめた「未来人材ビジョン」によると、日本国内の従業員エンゲージメントは世界でも最低水準です。（参考：経済産業省 未来人材会議「未来人材ビジョン」 https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001.html）

転職市場の活発化や人材不足などが加速する中、従業員のエンゲージメント向上施策の重要性が高まる一方、大きな課題となるのがエンゲージメント低下を招いている“真因”の特定です。
従業員の悩みの整理や真因の特定には、上司や人事とのキャリア面談、または専門のキャリアコンサルタントによるカウンセリングなどありますが、いずれも工数負荷が大きいことが企業にとっての悩みの種となっています。
これらの課題解決に向け、日鉄ソリューションズさまは従業員による自発的な悩みの解消を支援するキャリアリフレクションツール「なやさぽ」を開発し、2022年10月に公開しました。
イベントをきっかけに継続的な意見交換をしていた日鉄ソリューションズさまとフラーは、2022年6月から「なやさぽ」のデザイン領域における共創の取り組みをスタート。「なやさぽ」のデザインリニューアルを共同で進めました。

「なやさぽ」のコンセプトは「自分と向き合うきっかけをくれる安心できる相談相手」です。従業員自身が抱える悩みを整理/特定するリフレクション（内省）の過程に寄り添い、悩みの改善や解消につながる行動を支援します。

サービスは完全匿名で行われるため従業員の心理的安全性を担保。悩みやその原因が曖昧な状況にも対応した回答方式を採用しているため、人事やカウンセラーによる面談よりも気軽に活用できます。これらの仕組みについて日鉄ソリューションズさまは特許を出願しています。

企業の人事担当者にとっては、キャリア面談など個々人への対応の負荷が軽減されるとともに「なやさぽ」を利用した従業員の既存キャリア支援施策の積極的な活用によるエンゲージメント向上につながります。

従業員が抱えるキャリアへの不満や悩みがデータによって可視化されることで、データに基づく新規の人事施策検討や人材配置・育成の最適化といった人事領域におけるDX推進も可能となります。

フラーは2022年6月から「なやさぽ」のデザインリニューアルを日鉄ソリューションズさまとともに手掛けました。
当事者性を大切にしているフラーにとって、サービスのデザインは単に外側のデザインを要件通りに作成して終わりではありません。
パートナー企業がどのような経緯やアイデアを元にサービスを着想し、ユーザーに利用されるプロダクトに昇華してきたのか、どんな想いでプロジェクトを立ち上げたのかといった「当事者と同じ視点や意識」を手繰り寄せる部分からインプットを開始しました。
フラーのメンバーはプロジェクトの最初の１カ月間、日鉄ソリューションズさまへのヒアリングやディスカッションを集中的に実施。日鉄ソリューションズさまのプロジェクトチームと同じ視線で「なやさぽ」のことを考え、当事者としての意識を高く持ちながら内側からデザイン設計をしました。
集中的に議論する中で、ビジネスモデルの課題も見つけることができました。当事者として改善や解決策の提示をすることで、製品フローからビジネスモデルまで幅広い領域でのデザインを共創し、プロダクトのブラッシュアップの実現につなげました。
デザイン完成後も、フラーが強みとするスマートフォンに最適化されたサービスのデザインやアップデートの機能提案・アニメーション作成などの各種取り組みを継続。プロダクトのさらなる成功に向け、日鉄ソリューションズさまとユーザーに寄り添い取り組むデジタルパートナーとして歩みを続けています。

※「なやさぽ」は、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。